移り変わり

コロナのマスク制限も緩和され、春の訪れとともに開放感を感じられるようになりました。
今月は住まいの変化についてお話したいと思います。住宅は一度建てると50年以上は持つ不動産です。しかし、その間にも暮らし方は変わっていきます。私が住宅産業に関わるようになったこの40年、振り返れば今昔の感があります。

変化の始まりは和室の盛衰、40年前は都会でも一つは和室はありました。目的は実家の親が泊まれるよう、また将来の仏壇を置くスペースとして。地方では日当たりの良い南側に二間続きの和室を作ることも珍しくありませんでした。冠婚葬祭のためのスペースです。必然、家の規模も大きくなりました。

しかし、自宅での法事や泊まりの来客というニーズも少なくなり、住み手ご家族の普段の使い勝手で間取りを決めるようになりました。

結果、和室を作るお家は少なくなり、建物の面積も小さくなりました。年々の変化はわずかなものですがこうして半世紀近く経つとずいぶんと変わってきたなあと感じます。古い建物でも手入れさえしていればしっかりしています。耐震性や断熱性を考慮に入れて生活の変化に合ったリノベーションが増えているのも頷けます。

ーORINAS MAGAZINE 2023年5月号よりー

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