暖かい地方の寒い家

想像してみて下さい。寒い冬の夜、外の気温は5℃、室内は暖房していて20℃の部屋にいるとします。窓ガラスに手を触れてみて下さい。「冷やっ」と感じると思う方がほとんどではないでしょうか。冬の窓ガラスは冷たいと相場が決まっています。ただし、断熱サッシ、ペアガラスが使われるまでは。

冬に窓から逃げる熱は建物全体の約6割と言われています。古い単板ガラスの建物の場合、そこを改善するだけで随分冷暖房が効きやすい家になるということです。最近の新築の建物は性能の高い窓を採用していますのでこの問題は解決済みですが20年以上前の建物のほとんどは冬冷たい窓のままです。

これは私たち住まい手の快適性の問題だけでなく、CO2削減を国際公約している国にとっても大きな問題です。そこで、すでに建っている住宅の断熱性能の改善のために大きな補助金をつけた政策がこの春からスタートします。窓の性能改善に掛かる費用のほぼ半額を補助金で賄うというものです。

長年リフォームに関わってきた私にとっても驚きの規模で国の本気度が伺えます。快適性の向上、光熱費の削減、健康リスクの低減とメリットの大きい断熱リフォームの好機だと考えています。 ーORINAS MAGAZINE 2023年3月号よりー

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