断熱性能を最大化する「気密処理」の重要性と現場実例
今回は、高性能住宅の肝となる「気密工事」の現場レポートです。
建物内部にはわずかな「隙間」が存在します。しかし、「隙間」があると冷気が侵入し、本来の断熱性能は発揮されません。
そこで、重要になるのが「気密工事」。壁・床・天井の継ぎ目を、気密部材を使って徹底的に塞いでいく、まるで、穴の開いた魔法瓶の穴を一つひとつ丁寧に埋めていくような緻密な作業です。
「基礎断熱」による床下の気密
当社の床下仕様は、寒冷地で実績のある「基礎断熱」を採用しています。
土台と基礎の間には気密パッキンを施工し、断熱材の継ぎ目や配管周りのわずかな隙間には、ウレタンフォーム(発泡断熱材)を充填します。


もしここに隙間があると、床下の空気が断熱材の裏側に入り込み、結露(カビ・腐食の原因)を引き起こしてしまいます。
また、外部の熱を伝えやすい「構造金物」部分も、結露リスクが高いためコーキング処理を行い、熱の出入り(熱橋)を遮断しています。
「桁上断熱」と壁の処理
天井部分は「桁上(けたうえ)断熱」という工法を用いています。
これは梁の上に断熱層を作る方法で、間仕切り壁やダウンライト等の穴の影響を受けずに、気密ラインを連続させることができるのがメリットです。

壁部分においても、断熱材と柱の隙間、サッシ周り、金物周りなどを、気密テープやコーキング、ウレタンフォームを使い分けて処理します。
「断熱性が高い家ほど、気密をおろそかにすると結露リスクが高まる」という事実があるため、一切の妥協が許されない工程です。

気密測定(C値)の結果
全ての処理が終わった段階で、機械を使って家全体の隙間の量を測る「気密測定」を行います。

今回の測定結果は、C値=0.29 でした。
これは30坪の家全体で、隙間がわずか「5.4cm角(名刺半分程度)」しかないことを示します。
【一般的な住宅との比較(30坪)】
- 一般住宅(C値5.0):隙間はiPadサイズ
- 高気密住宅(C値1.0):隙間はiPhoneサイズ
- 超高気密住宅(C値0.5):隙間は名刺サイズ
当社の施工では、おおむねC値0.1〜0.3という数値を安定して計測しています。
HEAT20 G2グレードの実現
現在、国の断熱等級(6や7)には、残念ながら気密に関する規定が存在しません。
しかし私たちは、断熱材のスペックだけでは不十分だと考えています。
当社が標準とするのは、HEAT20の「G2グレード」。
これは「真冬の夜に暖房を止めても、翌朝13℃を下回らない」といった、住む人の健康と快適性を基準にしたものです。

先人たちが「断熱材は、生かすも殺すも気密次第」と語り継いできたように、確かな気密工事があってこそ、高性能な断熱材はその真価を発揮します。
見えなくなる部分だからこそ、私たちはこの工程を最も重要視しています。


