快適な住まいをつくるパッシブデザイン

快適な住まいをつくるには、太陽の熱や光、風などの自然エネルギーを有効活用することがとても重要です。そこで今回は、自然エネルギーを最大限に活用する設計手法「パッシブデザイン」についてご紹介いたします。少し工夫をするだけで快適な家づくりが実現できます!

南側の窓

なんと、冬の南面の窓に当たる熱量は電気ストーブ1台分以上!その熱量を十分に活用するため、南面の窓はできるだけ大きく取るのがベストです。

冬は太陽高度が低いため、大きい窓を取ると部屋の奥まで日差しを取り入れることができます。

しかし、窓を大きく取るだけだと夏場の暑い熱も取り入れてしまうため、夏場だけ日差しをカットできるような工夫が必要です。太陽の光は物に当たって熱に変わります。そのため、熱を室内に取り込まないように、室内ではなく家の外で日差しをカットすることが大切です。

そこで、窓の外に取り付ける外付のシェードやブラインドがおすすめ!必要な時だけ使えてしっかり日差しをカットしてくれます。エアコン効率も上がり冷暖房費の節約にもつながります。

通風(自然風利用)

気候の良い春や秋に窓を開けて自然の風を取り入れたいという人は多いと思います。また、新型コロナウイルスの影響で、換気のために窓を開ける機会も増えたのではないでしょうか。

風通しを良くするには、空気の特性を活かして窓の配置をすることが大切で、室内に空気の流れができて上手に自然風を利用することができます。

窓の配置方法①「ウインドキャッチ」

家の脇を通り抜ける風を捕まえるには、ウインドキャッチ窓がおすすめです。2つの縦すべり出し窓の吊元を内側に配置して並べ、窓の開く方向を調整することで、風をとらえて室内に送り込むことができます。同じ位置に引違い窓を1つ設けるより、10倍以上の通風量を得ることが可能です。

窓の配置方法②「温度差換気」

暖かい空気は軽いので上昇します。そのため、できるだけ低い部分(地窓)から風を取り入れて、できるだけ高い部分(高窓)から暖まった空気を排出することで、空気の流れが生まれます。

空気の入口と出口の高低差が大きいほど換気量は大きくなります。自然の風を上手に捕まえて、上手に流すことで、涼感を得られたり効率良く排熱できたりしますので、冷暖房費の節約・快適な家づくりにつながります!

採光

昼間でも暗い部屋より、明るく光が入ってくる部屋の方が良いですよね。家事動線や収納、デザインで間取りを決めがちですが、光をどれだけ取り込めるかも、住んだ後の快適さには大切です。

効果が高い窓の配置としては、吹き抜けや天窓など、窓の位置が高いほど部屋の奥まで光が届き、全体が明るくなります。我が家にも小さいながらも吹き抜けがあり、その窓のおかげでLDKがとても明るくなりました。

暗くなりがちな建物中央部の廊下や北側の洗面所などには、ガラス入りドアや室内用窓を設けて、光の入る明るい部屋から光を導いてあげましょう。風と同じように、光も障害物を無くして通り道を作れば上手く利用することができます。

昼間に照明が必要な場所を減らすことで、光熱費の節約にもつながります。窓の工夫により、健康・快適・省エネで季節に合った「ここちよさ」を感じられる家づくりができます!

設計部 金岡

-ORINAS MAGAZINE2024年3月号より-

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