住まいの可変性
ライフサイクルと住まい
今月は家族のライフサイクルと住まいとの関係について考えてみます。
一般的に家を建てるのは子育て期、部屋数が必要になったり広いLDKが要る時期です。しかし、子供たちが成長し独立してゆくと夫婦の二人暮らしに逆戻りし、そんなに大きな家は要りません。
この家族の変化を住まいがどう解決するかというのは永遠のテーマです。
住み替えという選択
米国での解決策は「住み替え」です。
家族のニーズが変わればヤドカリよろしくあっさりマイホームを売って引っ越します。そのかわり中古住宅の資産価値が認められていて売った代金が次の住宅の購入資金の一部になるのでそんなに持ち出しは多くありません。
家を変化させる
日本では30年ほど前、住み替えよりも家自体を変化しやすくできないかと研究された時期がありました。スケルトン(構造)&インフィル(内装・設備)という考え方です。
ニーズの変化に合わせて丈夫な構造は残したまま内装や設備のみをやりかえるという考え方です。当時は間取りの自由度を確保するために重量鉄骨や鉄筋コンクリート造、大断面木造を想定していました。
しかし、実際にやろうとするとリフォーム(リノベーション)にも大変な費用がかかるのであまり言われなくなりました。
これからの住まい
そのように考えていくとこれからの戸建て住宅も住み替えとリフォームを併用しながら変化に対応してゆくのかなあと思います。例えば、高齢のご夫婦が今までより小さな中古の平屋を購入してリフォームするというケースも増えてくるのではないでしょうか。
-ORINAS MAGAZINE2025年10月号より-